薇薔賛葉
点滴は昨日の午前中で終わりなのに、娘の顔はよくならない。
思えばうちの娘は、2年前にこの病院で産んだ時から既に旦那にも私にも全く似ていなかった。新生児とはそういうもんなのかと思っていたら、斜め前のベッドの奥様のお嬢さんは一目で判るほど奥様に激似で、我々は夫婦揃って無言になった。
以来、もしかして取り違えられたんじゃないかということはずっと思っていたが、今回またしても別の赤子と取り違えられたのだろうか。疑問は尽きない。
しかしそれはさておき、今日は退院だ。唐突な展開だな。でも、母の具合も悪かったので「私もこんな体だし、在宅での看病はともかく病院での泊まりは難しい」と小児科医に訴え、血液検査の結果が改善したのを受けてソッコー連れ帰った。
病院では病院食以外の食物の摂取がほとんど禁じられていたので、娘はその日いちごとバナナとみかんばかり尋常でない量を食べた。幸せそうで何より。ま、こんなことは今日だけだけどな。