ハンサムなスーツ

親会社のホシノさんは万人が納得のイケメンで、ただ其処に居るだけでフロアの女子に幸せをわけあたえていたが、私が出産とか育児とかしている間に別のオフィスへ異動してしまった。私も支持者の一人だったので、残念だった。『好み』とは全然違う相手であっても、イカしていることはわかるのだ。愛華（タモ）さんのように。
そんなホシノさんと、食堂の帰りにエレベーターの中でたまたまお会いしたので、私も挨拶した。男の評価に厳しい先輩も同僚もにこにこと挨拶していた。
同「ホシノさんはやっぱり素敵ね」
先「ジャケットとパンツが違っても、それがいいの」
私「ホシノさんが着ていると、私が不勉強なだけで世の中にはああいうムーヴメントが来ていると思えますもんね」
同「私達の同期の○○が着てたら『だからおめーは童貞なんだ』ってたしなめるよ」
先「ホシノさんスタイルも超いいよー」

以上の会話は、『普通の男は上下セットのスーツを着ておけ』という、ありがたい教訓である。